Kanon89’s blog

花音鍼灸治療院のブログ

"手“について思い出されること

手についての思い出は他にもあります。
昔インドを一人、4ヶ月間放浪した時、どういう経緯でそこにいたのかはまったく覚えていないのですが、私とインド人と寡黙な欧米人の3人で焚き火を囲んでいました。

インド人は火をくべながら、「その欧米人はヨガの達人で身体のあらゆる部分を一つ一つ別々に自分の意思で動かせる」というような内容を私に話して聞かせました。

欧米人は黙って私とインド人の手を取り、見比べました。私の白く汚れのない華奢な手とインド人の労働による汚れにまみれたゴツゴツとした手はあまりに対照的で、瞬間私は恥ずかしさでいっぱいになったのでした。お金を数えてきた手と労働に裏打ちされた手。欧米人は何も言わずに私の眼を見るのです。その碧く澄んだ深い眼を私は決して忘れずにいます。

あれから四半世紀以上経ち、今だったら自信を持って私は彼に自分の手を見せるでしょう。
これが人々のために日々悪戦苦闘している施術家の手であると。